村上昭夫 動物哀歌

村上昭夫を知ったのは若い頃でした。「動物哀歌」という詩集です。岩手の詩人でH氏賞を受けました。1968年に41才で亡くなったのですが、1968年といえば私自身は大学で、様々想いを胸に生きていた時でした(今も想いは持っているつもりですが)。詩集の中では、「象」が好きになりました。「象が落日のようにたおれたという その便りをくれた人もいなくなった 落日とありふれた陽が沈むことの天と地ほどのへだたりのような 深い思いを残して  それから私は何処でもひとり ひとりのうすれ日の森林をのぼり ひとりのひもじい荒野をさまよい ひとりの夕闇の砂浜を歩き ひとりの血の汗の夜をねむり ひとりで恐ろしい死の世界へ入ってゆくよりほかはない  前足から永遠に向かうようにたおれたという 巨大な落日の象をもとめて」若い時は、「永遠」ということばが観念のように遠く感じたことを覚えています。しかし、今老いながら「永遠」が本当に身近になっていると感じています。村上昭夫は若くして病いをもち、若い心で、「永遠」を身近に感じたのではないでしょうか。そのことがほとばしり出ているように思われます。最近、長く書棚の奥底にひっそりと埋もれていた「動物哀歌」のことばになぜか会いたくなったのです。身近な犬が亡くなったことなどが考えられますが、新しい犬がやってきたこともその理由の一つと思います。犬たちの「むぞちらしさ(けなげさ・哀しさなど 秋田県南方言)」に身につまされることが多々あるからだと思っています。「僕のワンダフルライフ」という映画を見てぽろぽろ泣きました。皆さんも見て下さい。2018/04/25

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